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わいせつ被害にEMDRを使用

EMDR(眼球運動による脱感作と再処理法)もとても不思議な技法です。

これは1987年フランシーン・シャピロ博士が偶然発見し、その後実証研究が積み重ねられて現在PTSDの治療で効果があるとされています。EMDRのトレーニングは、3日間の研修を2回と合計10時間のコンサルテーションが必要で、それを終えて始めて臨床で使用できるようになります。世界中の臨床場面で多く使用されていて、クライエントさんに対する配慮も行き届いた丁寧で効果の高い方法と言えます。

 

わいせつ被害で眠れなくなったと訴えてこられた女性が、TFTを行ったところ眠れるようになり嫌な夢を見なくなったのですが、今後同じようなことがあったらフラッシュバックするのではないかと不安を訴えられました。

加害者と似た背格好の男性を見るとやはり怖い、後ろに人がいるとビクッとしてしまう、また出会うのではないかと思うとその道を歩けない状態も続いていました。そこで、EMDRを行うことにしました。

 

EMDRについてご説明し、今の不快な感じと似たような体験が以前なかったか思い出してもらいました。

すると、5年ほど前にコンビニから後をつけられて怖い思いをしたことがあったと話されました。そこでその記憶に焦点を当ててEMDRを行いました。SUD(主観的な辛さを10段階で表した数値)が7だったのが0まで下がりました。その記憶については思い出しても苦痛を感じなくなり、夢も全く見なくなったということでした。

 

そこで今回のわいせつ被害についてもEMDRを行いましたが、数回の眼球運動で怖い気持ちが楽になり、自分が悪かったのではないかという自責感情もほとんど無くなりました。また、今後同じようなことが起きたら、きちんと拒否して無事に帰宅できるイメージも持つことができ、もう大丈夫かなと自信を持てるようになったということです。SUDは7か8くらいから0に下がりました。

 

最初のご相談から計4回のセッションでトラウマの処理が終わり短期間で非常に効果がありました。

クライエントさんには一部修正の上ブログに載せることにご了解をいただき感謝いたします。