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BSP(ブレインスポッティング)の体験談

ブレインスポッティング(BSP)を行ったAさんは、後日その体験をまとめたものをメールで送ってくださいました。

いつも同じ反応が起こるわけではないので、私も勉強になったことがたくさんありました。ご了解をいただき修正を加えたものを紹介させていただきます。

 

 

 1年前に勤務した会社で、仕事を覚えるのが遅かったため1ヶ月半ほどでクビになりました。

 そこで「おまえはみんなを苦しめる」と罵倒され、自発的に会社を辞めるように拷問のような仕打ちがありました。そのことが強く残りトラウマになっていたので、その2つのことをBSPをうけているときに思い浮かべました。BSPを受けるまではこのことを思い出す度に、会社に大きな損害を与えてつぶしたいと考えるほどに心の中に怒りの感情が渦巻き続けていました。

 

 BSPを受けたときですが、特定の視野を見ていると視界がどんどん暗くなってきました。

 立ちくらみを起こした時のような、視界の輪郭が暗くなっていく感じです。

 ほかにも飛蚊症のように視界になにか飛んでいるようなものが見えたり、外が夕方のようにブラインド越しに赤く見えました。

 指示棒の先に集中していたのですが、視界が変わっていくことや、そのときの状況を実況していたので、目先は集中してましたが、思考の集中はちょくちょく途切れました。途切れたあと、過去のことを思い出すことに集中しようと意識を戻す度、印象が薄らいで本当にどうでもいいことのように思えてきました。そのときの状況、上司の名前、会社の名前など思い出すのに時間がかかってしまうほどです。

 関根先生は「記憶がなくなるわけではない」とおっしゃってましたが、受けているときは一時的に思い出せなくなりました。上司やほかの人の名前がまるで出てこないのです。事業所の人数は10人にも満たなかったはずなのに顔も名前も、人数すらも曖昧になりました。

 

 BSPを受けてから1週間経ちましたが、受ける前のようにフラッシュバックするようなことはなくなりました。今、思い出しても「ああ、そんなのあったね」ぐらい軽く考えることができるようになっています。このことを思い出す度に壁をたたくことも、唐突に叫ぶことも今のところありません。会社からされたことと上司の名前は思い出せますが、上司以外の名前、全員の顔を思い出せないぐらいどうでもよくなっています。

 

つらい記憶を短時間で処理することが可能なBSPは本当に不思議な技法だと思います。

これから研究が進んでいろいろなところで使われるようになるのではと感じています。

ご自分の体験をご紹介いただいたAさんに深く感謝いたします。