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「死ぬ」と訴えてきた高校生(TFT)

今から十年ほど前のことです。

私がスクールカウンセラーとして行っていたある高等学校で、そろそろ相談室を閉めて帰ろうかと思っていた時でした。養護教諭の先生が相談室に一人の男子生徒を連れてきました。初めて会う生徒さんでしたが、先生の話によると本人が「死ぬ」と言っているので話を聞いてやってほしいということでした。どうも、失恋が原因のようだということでした。

本人は、なんでこんなところに連れてこられたのかといぶかしげな表情でしたが、いろいろ話を聞いていくと、きちんと話しをしてくれますし、落ち着いた様子に見えました。その話しでは、仲良くしていた女子生徒が他の男子生徒とつきあい出し、失恋が原因というよりも自分の決めた日までに彼女の心を取り戻せなかったら死ぬと自分で決心したからということのようでした。それからお家の方が迎えに来られるまで4時間にわたって話を聞き、次の相談日にまた続きの話をしようと約束して帰りました。

この時に使用したのがTFTの対人関係ストレスのアルゴリズムでした。一度覚えると自分で必要を感じた時に使うことができ、特に副作用もないので安心して使用することができます。この時から卒業まで、この生徒さんは継続的に相談に来てくれましたが、何かあるとTFTを使うように勧めていました。

 

 

 

卒業後何年も経ってから、一度お会いしたことがありました。

TFTは今でも時々使っていると言っていました。その時に、最初に相談室に来た時、「死ぬ」と言っていたけれど、本当はどんな風に考えていたの?と聞いてみましたら、本当に死のうと思っていたと具体的な方法を話してくれました。その時、本当にTFTを使うことができてよかったと思った瞬間でした。

今回このような形でブログに掲載することを快く承諾いただいておりますが、一部修正をしております。